免疫を強くするのは微生物:自然とのふれあいが健康に及ぼす影響の研究結果

パフィーズではもともと、お客様からご相談がある時に時々、「ふだん土を踏んでいますか?」とお尋ねすることがあります。一握りの土にもおびただしい数の微生物がいるからです。この微生物の中には体内に入ると腸内環境を乱すものもありますが、普段から少しずつ慣れておくと、腸を強く、つまり、免疫を強くすることができる、と私たちは考えているからです。

新型コロナウイルスで多くの人が理解したと思いますが、ウイルスや細菌(微生物)というものは、宿主の身体によって反応は変わります。コロナウイルスの場合にはそれがかなり変則的で予測が難しいのが特徴ですからアルコール除菌などの最大限の予防をする必要がある、ということです。

でも微生物には膨大な種類と数があり、私たちの皮膚にも常に何千という微生物が住んでいると言われます。その微生物をすべて殺してしまっては、私たちの健康も維持できない、というより、この共存が私たちの健康を維持してくれているのです。だから除菌剤・抗菌剤の使い過ぎや、身体に直接使うことはお勧めしていません。

長い長い歴史の中、ワン・ニャンというのはほとんどが戸外にいた生きものです。人間を対象にした調査ですが、先進国においては平均的な現代人は1日のうち1-5%しか、戸外で過ごしていないという研究結果があります。

John Spengler, Akira Yamaguchi Professor of Environmental Health and Human Habitation, Harvard T. H. Chan School of Public Health (https://www.hsph.harvard.edu/john-spengler/)

空気中にも、土の中にも、そして皮膚にも、たくさんの微生物がいて、活発に繁殖したり生命を全うしたりしています。この微生物が「多様」な状態であることが、人間の健康の一つの鍵ではないかという研究が進んでいます。この多様性はもちろん、室内にいては確保できず、屋外、しかも生物の多様性が高い(=自然が豊かな)ところで時間を過ごすことが大切です。

近年特にヨーロッパでは、自然体験が子どもたちの身体と精神の健康に及ぼす影響についての研究が活発です。アレルギー、喘息、湿疹、1型糖尿病、炎症性腸疾患、多発性硬化症などの免疫不全が原因の疾患が増えているからです。パフィーズでもおなじみの、ワンちゃん・ネコちゃんでもご相談の多い病気です。

免疫不全はまだメカニズムがはっきりわかっていませんが、近年、屋外の微生物にさらされる時間が減って、免疫が負荷に慣れなくなり、きちんと反応できなくなっていることが原因の一つではないかという説が有力です。

最近行われた実験(Science Advancesという研究誌 で2020年10月に発表)では、 二つのフィンランドの都市にいる3歳から5歳までの75人の子どもたちを対象に、デイケアセンターで自然に触れることの影響を測定しました。

もともとセンターには砂利の庭がありますが、4つのセンターでは砂利に替え、自然林から移植した低木やブルーベリーや苔を植えました。子供たちは90分は屋外で過ごし、植物や土に触れます。

28日間の「テスト」の後、この子どもたちの肌の微生物の数を測定したところ、土のない砂利の庭のままにしておいたセンターの子どもたちより、30%以上多くなっていました。

血液検査でも、たんぱく質や免疫システムに関する細胞に良い影響が反映されていました。免疫や炎症に関係した分子を多く保有するたんぱく質であるサイトカインや制御性T細胞にもです。過剰な免疫反応により炎症を起こすことを、身体が自分で防ぐのに大切な要素です。

この実験で面白い点は、プロバイオティクスのサプリメントを飲んでいた子は、実験対象から外されていることです。パフィーズのアスタミアと同じく、腸の善玉菌の住処となるものが、プロバイオティクスです。(子どもたちは全員同じ食事をしています。)

Marja I. Roslund,
Riikka Puhakka, et al., Biodiversity intervention enhances immune regulation and health-associated commensal microbiota among daycare children, Science Advances 14 Oct 2020. (https://advances.sciencemag.org/content/6/42/eaba2578)

多様な微生物に触れさせ、免疫に反応を練習していく機会をつくること。本来は害を及ぼさない微生物と共存してうまく利用していくこと。これを考えることが、本当に強い身体を作っていくことではないか、とパフィーズでは考えています。「害獣」や「害虫」が嫌でも、自然と完全に切り離されて生きることはできないことがわかりつつある今、身体の方を強くしていくことが一番の防御です。

前述の通り、アレルギー、喘息、湿疹、炎症性腸疾患に悩むワンニャンは非常に多く、いつもご相談をいただきます。そんな時、食べものの改善だけでなく、ライフスタイルやお散歩時間の過ごし方を見直すことが彼らの免疫を強くすると考え、私たちは創業以来ずっと、ワンちゃん(猫ちゃんもハーネスで!)には森の土や海の砂を踏んでもらう体験をお勧めしてきました。そしてそれを実行した方からは、「すごい!」というフィードバックをいただいています。

みなさま、このシーズン、新型コロナウイルス感染に注意はしつつ、ぜひワンにWild な経験をさせてあげてくださいね。そして、みんなで強い身体とココロをつくってまいりましょう!